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2004年09月08日 (水)

超越的価値の体現者としての「美少女」

<読了>
ササキバラ・ゴウ『<美少女>の現代史−「萌え」とキャラクター』(講談社現代新書

<購入>
『週刊ビッグコミックスピリッツ』No.41(小学館
『週刊少年サンデー』No.41(小学館
『月刊コミックフラッパー』10月号(メディアファクトリー

『<美少女>の現代史−「萌え」とキャラクター』は、要するにいわゆる「大きな物語」が完全に崩壊していく80年代以降の時代に、(男性の)実存を保証してくれる超越的価値の体現者としての「美少女」がマンガやアニメ・PCゲームに蔓延していった、ということを、業界内で生きてきた筆者が振り返って簡潔にまとめている本です。こういう単純な枠組みできれいに説明できているのでなかなか面白かったですが、それよりもむしろ後半で少し言及されていた、「内面」を持たされた「美少女」に対して「透明な存在」としての男性から一方的に投げられる視線の暴力性についてや、そういう透明な「見る存在」としての生き方の閉塞性について筆者がどう考えるのかもうちょっと読んでみたかったです。つまり「『美少女とひとり暮らし』という新しいライフスタイル」(193ページ)がリアリティを持って成立している状況をどう捉えていくべきなのか。筆者はそれは今後の課題だということでまとめていますが、むしろそこが本題のはずなので、今後何らかの議論を提出してくれるのでしょう。でもまあこういう議論は、超越的価値を何に求めるのか、というような話になってくると思うのでいくら議論しても難しいとは思うんですけど。ただ、そういう超越性を国家とか民族とか排他的な神に求めるくらいなら、「美少女」の方が全然いいよね、とは思うわけです。

投稿者 enyu : 2004年09月08日 23:59

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