« 本:2005/11/16 | メイン | アニメ:2005/11/17 »

2005年11月17日 (木)

アニメ・マンガとナショナリズム(本:2005/11/17)

<読了>
大塚英志、大澤信亮『「ジャパニメーション」はなぜ敗れるか』(角川oneテーマ21

アニメやマンガが、実際には大して外国で売れているわけではなくて経済的な実体があまり大きくないのにも関わらず、「国策」として文化ナショナリズム発揚の手段にされている現状を指摘しつつ、それを批判する(というか業界人として拒否する)根拠として、「まんが」をはじめとする「『おたく』表現」を、戦前のディズニー作品の受容を経て戦時下にその原型が成立したものとして歴史の中に明確に位置づけようとしている本。資料が具体的に示されているので、非常に説得力がありました。アニメやマンガが欧米やアジア(の一部の層)で非常に人気があることを取り上げて、それらが「日本文化」の「伝統」から生まれたものであるとして「日本文化」の優秀さを吹聴するような言説(岡田斗司夫や村上隆のそれが典型的)については、僕も2001年1月に提出した大学の卒論で文化ナショナリズムの言説として批判的に分析したことがあるのですが、それから4年経った今では政府がそういう言説を大量に垂れ流すようになった点で状況は悪化していますね。著者が言うように、国には放っておいて欲しいです。ほんと。

「ジャパニメーション」はなぜ敗れるか
大塚 英志 大澤 信亮
角川書店 (2005/11/10)

投稿者 enyu : 2005年11月17日 23:59

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://en-yu.jp/mt/mt-tb.cgi/371

コメント

コメントしてください




保存しますか?