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2000年とはどんな年だったのか

 西暦2000年。この2000年という年には何か未来的でSFチックなイメージが僕にとってはある。しかし実際に2000年になってみると、「終わりなき日常」(なんて言ってみたりして)はやっぱり続いて、過去に様々なSFで描かれた西暦2000年の世界は、年代的な予言としての「有り得べき未来」では完全になくなった(同様に1999年の世界も)。では、予言としては失効したそれらのSFでの2000年の世界とはどんなものだったのか? 2000年になった早々、2000年はどんな年「だった」のか、懐かしく過去型で振り返ってみよう。


『機動戦士ガンダム』(1979年)の場合
 1979年の最初のガンダムは「宇宙世紀0079」から始まる。だからそれが一体いつのことなのかよくわからなかったのだが、大分後になって作られたらしい設定によると、西暦2045年の第1号スペースコロニー建造開始後、「宇宙移民開始をもって宇宙世紀に移行」したということらしい。そして、肝心の西暦2000年はと言えば、ガンダム年表には何も記述がない。ただ、1999年に「地球連邦政府樹立、人類宇宙移民計画発表」ということなので(すごいね)、翌年の2000年はそれに続く混乱時代といったところか。

『超時空要塞マクロス』(1982年)の場合
 このアニメは、1999年に謎の巨大物体が宇宙から南アタリア島に降ってくる場面から始まっていて、明らかにあの「恐怖の大王」を意識した設定。そしてその巨大物体は、調査により宇宙戦艦であることが判明する。これにより、「地球外知的生命体の存在と、大宇宙を戦場とする闘争のあること」が明らかになり、2001年に「国家間の利害を超えた地球統合政府」が樹立される。そしてそれ以後7年間、統合政府と反対勢力の間で「長く苦しい統合戦争」が戦われる。ということなので、2000年には多分その巨大物体を調査中といったところか。ちなみに巨大物体は10年をかけて改修され、地球統合軍の旗艦「SDF-1マクロス」になる。

武論尊/原哲夫『北斗の拳』(1983年)の場合
 このマンガには時代設定なんて無いだろうと思いきや、実は「199X年」に核戦争が起こった後の「世紀末」が舞台。「世紀末」なので、2000年も一応入る。よって、このマンガでの2000年は、「暴力の嵐が吹き荒れる無法の荒野」で「力なき民」が「苦悶の声をあげて」いて、「ケンシロウ」という「北斗神拳」の伝承者が「悪党達」を「あたたたた」と倒す、「ひでぶ」「あべし」な世界。

大友克洋監督『AKIRA』(1988年)の場合
 1988年公開の映画のパンフレットによると、1988年7月16日に三鷹付近で(マンガでは1982年12月6日午後2時17分に関東地区で)新型爆弾が爆発し(実際はアキラの能力による爆発)、第三次世界大戦が起こる。8月1日に戦争は集結し、復興開始。そして1999年には東京湾を埋め立てた「ネオ東京」がほぼ完成し、2006年くらいまでベビーブーム、ということなので、2000年は恐らくネオ東京へ激しく人口が流入していた頃だろう。主人公の「金田」はその3年後の2003年9月5日生まれ。ちなみに、タコ頭の「大佐」は1977年11月15日生まれで、僕と同い年。嬉しくないけど。

『機動警察パトレイバー』(1988年)の場合
 ハイパーテクノロジーの急速な発展の産物である汎用人間型ロボット「レイバー」があらゆる分野に普及し、土木・建設作業の効率が飛躍的に向上した、という設定で1999年の世界から始まるこのシリーズ。当然2000年にはさらにレイバーが普及し、レイバー犯罪も増えていることでしょう。

『新世紀エヴァンゲリオン』(1995年)の場合
 時に西暦2000年、南極で「セカンドインパクト」が発生、全世界が異常気象に見舞われる。これ以上は書くと恥ずかしいので省略。

アーサー・C・クラーク『2001年宇宙の旅』(1968年)の場合
 1999年に月面のティコ・クレーターでモノリス(TMA-1)が発見され、それが土星(映画では木星)に向けて強力なシグナルを発したことから、コンピューターHAL-9000に制御されたアメリカの宇宙船ディスカバリー号が土星(映画では木星)に向かう。よって、2000年にはディスカバリー号が航行中。この世界では、2000年には月面に恒久基地が存在し、核保有国数は38、その一つであるソビエト連邦は強力な宇宙開発国家として依然存在する。

レイ・ブラッドベリ『火星年代記』(1946年)の場合
 2000年4月、オハイオから飛び立った第3探検隊が火星に到着。地球では核戦争の危機が迫っていた。


 こんなところ。他にも挙げればキリがないのでやめる。僕と同年代で日本に住んでいた人はここに載せたSF作品の多くを知っていると思うのだが、実際の西暦2000年に20歳そこそこになる人間が触れてきたこういう1980年代のアニメなりマンガには、2000年前後の大変化を舞台にしたものが沢山あった。1999年や2000年のSFチックなイメージはそういった幼少時代の体験の中で根深く醸成されてきていたのだろう、実際の2000年になってもそのイメージはなかなか消えない。これはちょっと厄介で、懐かしいSFの世界の2000年と比べてしまうことで、現実の2000年の世界が色褪せて見えて来る危険もある(だからオウムは世紀末にあたって自分達でハルマゲドンを起こそうとしたんだ、といった議論に持っていけそうな感じだが、それは長くなりそうだしやる気もないのでしない)。でも僕は現実の2000年も結構面白いと思うよ。なにしろ3月にはPlayStation2も発売になるし。そんな訳で、PlayStation2で楽しく遊んで、同じくらい厄介な感じの現実の2001年に備えることにするさ。